【問題】
<A社のデータ>
株価 1,000円
当期純利益 50億円
自己資本 1,500億円
総資産 6,000億円
発行済株式数 1億株
配当金総額(年間) 20億円
A社のPBR(株価純資産倍率)は、0.8倍である。
○か×か?
Contents
FP2級で、似たような問題が出題されていました
過去にFP技能士2級試験で似たような問題が出題されていました。それをちょっと弄っています。
FP2級の受験者だったら、当然正解したい問題です。PBR は基本中の基本とも言える株式指標です。
FP技能検定とは関係なく、重要な知識です。チェックしてみましょう。
PBR って何?
PBR は株価が割安かどうかを判断する指標のひとつです。株式投資をする人には必須である知識の一つといえるでしょう。自分で計算できるようになっておくべきです。
まあ、Yahoo!ファイナンスをチェックすれば、簡単に数字が出てきますけどね。理解していないと、ちゃんと使う事ができませんし。
さて、PBR ですが、「price book-value ratio 」の略です。日本語では株価純資産倍率といいます。
Price は「株価」、Book-value は「一株あたり純資産額」、Ratio は「比率」をそれぞれ表します。つまり、株価と一株純資産の比率を表すのがPBRです。
式にすると「PBR=株価÷一株あたり純資産額」となります。この式を見るとわかるように、まさに「株価」と「純資産」の倍率になっていますね。つまり、日本語で何と言うか知っていれば、計算式は覚えるまでもないのです。私も覚えていません。
計算してみよう
それでは、今回のA社のケースでPBR を計算してみよう。
問題設定では一株あたり純資産額が明示されていません。ですから、まずはそこから計算します。
一株あたり純資産額=自己資本÷株数=1,500億円÷1億株=1,500円
これで「一株あたり純資産額」が分かったので、PBR が計算できます。
PBR=株価÷一株あたり純資産額
=1,000円÷1,500円≒0.67
ということで、問題文で問われている0.8ではありませんので、正解は「×」と言うことになります。
で、0.67だから何って話
株式投資をしようと思っている人だと、PBR が分かってお終いでは無いですよね。「PBR が0.67倍と分かったからどうなんだ」という話になってきます。
もう一度PBR の定義に戻ってほしいのですが、PBR というのは株価と一株純資産の比率です。ということは、PBR が小さければ、純資産の価値に対して株価が安いという事です。つまり、PBR が小さい株というのは、投資対象になり得るという事が言えるわけです。
そもそも「純資産」ってなんだ?
さて、もうちょっと突っ込んでみましょう。一株純資産の「純資産」っていったい何なのでしょうか。
大辞林・第三版によると、純資産は「資産総額から負債総額を差し引いた額。」と定義されています。これをちょっと大雑把に言うと、「財産から借金を引いたものが純資産」という事になるわけです。
こういう雑な書き方をすると、会計にうるさい人には怒られるんでしょうけどね。まあ、イメージとしてはこういう事です。
1株純資産は1株当たりの解散価値
ところで、財産から借金を引いたものって、その会社の正味の資産ですよね。まあ、正味の資産だから純資産というんですけど。
そして、正味の資産ということは、今会社を解散したら、これだけの価値が残るという数字でもあるはずです。つまり、純資産は会社の理論的な「解散価値」でもあるわけです。
ということは、1株純資産って、1株あたりの解散価値とも言えるわけです。それが株価との比率で1倍を割るとしたら、その会社の株価は、解散価値よりも低いという事になります。
PBR 0.67 って、どういう事?
ということは、PBR が0.67倍というのは、会社の解散価値が1だとすると株価が0.67 であるという事になりますよね。ですから、これはかなり割安といえるわけですね。低位株を中心に投資している人なら、興味を持つはずですよ。
実は、民主党政権の時代には、PBR が1倍を大きく割り込んでいる会社がたくさんありました。つまり、あの時期は、株の大バーゲンセールだったわけです。
PBR に着目していた人は、かなり儲けたことでしょう。ちなみに私も、多少ですが儲けさせていただきました。
それにしても、民主党政権の経済政策って、やっぱり酷かったんですね。PBR をみるだけで、経済政策がいかに期待されていないのか分かってしまいます。
まあ、こんな感じで、PBR は結構使える指標です。株価が高い時期にはPBR が小さい株は少ないので、あまり使えませんけどね。1 株式市場が低迷している時期には大活躍します。
PBRの問題点
PBRの計算で用いる資産は土地や建物の価格が実際の値を表していない事があるという点です。
現在の会計制度では、土地の価格は基本的に土地を購入したときの価格で評価することになっています。つまり、資産に含まれる土地が50年前に購入したものだったら50年前に購入した価格で計上されている可能性があるわけです。
これでは正確な金額を出すのは難しいですね。古い土地の価格が低く評価されたままだと、PBR は大きくなってしまいます。
もっとも、このように実態とのズレがでる可能性があるPBRですが、割安な株を見つけるには役に立つ指標といえるでしょう。土地の問題でPBR が大きくなるのだとしたら、どちらにしろ低PBR なら割安という事ですからね。
PBRが1を割り込むような株があったらチェックしてみるのもいいでしょう。
低PBRは投資価値があるのだろうか
以前、次のような文章を書いたことがあります。おそらく2011年ころでしょうか。
ところで、一般的には、PBR が1倍を割れば割安ですが、時期によっては1倍を大幅に割り込む株がかなり出ることもあるようです。例えば、最近チェックしたところ、PBR 1倍どころか、0.5倍を割る株がゴロゴロあるようです。
はっきり言って、ここまでいくとちょっと異常です。近い将来、合理的な値に戻る可能性があるかもしれません。
そう考えると、低PBR の株は、ねらい目かもしれませんね。結果には責任は持てませんけど。
実際これに関して、めぼしい低PBR の株をチェックしていました。確か、低PBR だけでなく、自己資本比率が高い株という条件で検索したはずです。
それらの株が今どうなっているかというと、高いものだと3倍くらいに株価が上昇しています。一応、チェックしたものはすべて株価が上昇しています。まあ、アベノミクスのおかげがありますから、パフォーマンスの良さはそのためかもしれませんが。
実際に、その中の一社の株を持っていて、株価は2倍以上になっていました。まあ、投資した金額がたいしたことは無いので、儲け自体は30万円程度でしたけどね。6年ちょっとで2倍になったのは悪くないでしょう。
アベノミクスのために投資が成功したという感じもするので、低PBR に目をつけるという作戦が良いと断定はしにくいところはあります。ただ、一応、今回調べた範囲では成功したという事は言えそうです。
低PBRの株はゴロゴロある
そして、2018年1月現在も、依然として低PBR の株はゴロゴロあります。低いところだと、0.3倍台の株がたくさんありました。
アベノミクスの恩恵で、株価が上がった企業が多いのですけどね。いまだにこんな企業がたくさんあるのですね。少々驚きました。
ちなみに、特に低かったのが銀行です。第2地銀だと思うんですけどね。結構たくさん並んでいました。
銀行は数少ないアベノミクスの恩恵を受けなかった業界です。運用していた国債を日銀に取り上げられてしまいましたからね。
でも、金利が下がった時に儲けられない銀行って、どうかと思いますけどね。金融緩和って、景気が良くなって貸し出しが増える政策のはずですから。
どうしようもありません。
- 株価が高い時期には、むしろPER の方が使えます [↩]
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