債券への投資が難しいのは、リスクとリターンの関係が適切なのか判断するのが難しいからです。債券を発行する企業などの債務不履行のリスクに対して、利率が適正かどうかが判断し辛いのです。特に素人には、この判断はほとんど不可能でしょう。
ですから国債は別にして、社債や地方債は避けておいた方が良いと考える人もいるわけです。出来ないことはやらない方が良いというスタンスですね。
社債に関してはこの通りなのでしょう。しかし地方債に関しては、違った見解を持っている人もいるようです。地方債は「暗黙の政府保証」があるので安心だという意見があるのです。
「暗黙の政府保証」って何だ?
地方債には暗黙の政府保証があるといわれています。この政府保証のために、小さい自治体が発行する地方債でも安全であると考えている人がいるようです。
暗黙の政府保証というのはどういうものでしょうか。参考になるレポートがあったので、ちょっと引用してみましょう。ちょっと古いものですけど。
日本では,地方債を取り巻く諸制度が地方債の信用力をサポートし,中央政府が「暗黙の政府保証」を与えているため,地方公共団体間に信用力格差はないと説明されている。この諸制度とは,①起債許可制度,②地方債計画,地方財政計画および財投計画,③財政再建法による財政再建のシステム,④地方交付税制度である。1
凄く大雑把に言ってしまうと、そもそも地方債の発行には国の許可が必要です。その上、地方の財政は国と一体になって決めている部分もあります。
ですから、当然、政府が最終的な責任を負うというような考え方です。「途中で口を出したんだから、何かあったら尻拭いまでしてくれるだろ」という事です。分かりやすく言うと。
野放図に発行される国債に比べ、抑制的な態度を取っている分、地方債の方が安全だという人すらいるようですね。
こういった理屈を信じるのなら、国債よりも金利が良い地方債は、積極的に活用していくべきでしょう。と言っても、何の保証もできないので、投資する時には自己責任でお願いします。
格付け機関の評価は違う
ただ、この考え方に疑問が無いわけではありません。
そもそも上の理屈で行くと、地方債の信用力ははどこも同じということになります。最終的に政府保証がついているのなら当然ですよね。
しかし、格付け機関の評価は、必ずしもそういうことではないようです。地方債に関しては、債券ごとに評価が異なっています。
少なくとも、格付け機関は、違った見解を持っているわけです。
金利も異なる
また、発行体によって、新規発行の地方債の利回りに差があります。仮に本当に政府保証があるのなら、金利の水準は国債と地方債で同じ程度であるべきですかよね。
しかし実際には、国債と地方債には金利にかなりの開きがあります。これは、市場は必ずしも全ての地方債が同じ信用力だと考えていないと言うことですね。
暗黙の政府保証はあくまで「暗黙」だからとも言うことなのでしょう。本当に明示的な政府保証がついたら、国債と完全に同じとは行かないまでも、金利はかなり近くなるでしょう。あくまで「暗黙」だから半信半疑の人も多くてこの金利になっているわけです。
まあ、本当に政府保証があるのかどうかは、地方債を発行している自治体がつぶれてみないと評価が出来ないですけどね。
国債と地方債の金利の差
ちなみに、国債と地方債でどの程度金利が違うのか一つ例を挙げてチェックしてみましょう。
例えば平成26年8月の5年物の利付国債の応募者利回りは年0.086%でした。一方、同じ年の7月に発行された川崎市の5年物の市債の応募者利回りは0.163%でした。
このように市債と国債では結構な開きがあることがわかります。本当に暗黙の政府保証があるのであれば、市債を買ったほうが得ですよね。ちょっとでも良いリターンがほしいと思う人は、市債も検討に入れてみると良いでしょう。
- ■ 地方債の信用力(農林金融2004・1) [↩]
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