プレジデントに財形貯蓄に関する記事が載っていました。物価上昇に備えて財形貯蓄をはじめようと言う趣旨のものです。1
率直に言って、記事のタイトルを見た段階から、頭の中には「?」マークしか浮かびませんでした。なぜなら財形貯蓄は、決して物価上昇に強い商品ではないからです。どちらかというと、物価上昇に弱い商品だと考えて良いでしょう。
本文を読むとその答えは載っているのでしょうか。結論から書くと、本文を読んでも私の頭の中の「?」は消えていません。とういか、この記事を載せるプレジデントの事が、心配になってしまいました。
財形貯蓄を勧める根拠は何?
ちなみに記事の中では、財形貯蓄を勧める理由を次のように説明しています。
ただ、春美さんのように「月末に余ったお金を貯金しよう」とは考えないほうがいい。給料がそう増えないのに物価はだんだん上がるのだから、少しぐらい節約しても月末には「やっぱりお金が残らなかった」となるのは必至。そこでお勧めしたいのは、頑張らなくてもお金が貯まる仕組みをつくること。その方法は「先取り貯蓄」だ。
先取り貯蓄とは、給料から貯蓄分をあらかじめ引いて積み立てていく方法のこと。毎月振り込まれる給料は、すでに貯金を引いた後の金額なので、全部使っても大丈夫。こうした強制的に貯める仕組みをつくらないと、ここから貯金を増やすのは難しい。先取り貯蓄の方法のうち、特に会社員に最適なのが「財形貯蓄」だ。
はっきり言って、言っていることが滅茶苦茶なんですよね。
上の文章だと、節約をして余ったお金を貯蓄するのが難しい理由を、次のように説明しています。
物価が上がる
↓
節約は難しい
↓
貯蓄が出来ない
これに対して、なぜだか知りませんが、「先取り貯蓄」というのをすると楽にお金が貯まるのだそうです。「先取り貯蓄」というのは、自動的に積立てられる商品のことを言っているようです。
でも、先取り貯蓄をしようと何をしようと、物価の上昇は誰にもやってきます。そうであれば、積み立てをしたら楽に貯まると言われても、誰も納得しないでしょう。だって、物価が上がれば、残ったお金の中で生活するのは厳しくなるはずですから。結果的にお金が貯まるのかもしれませんが、楽に貯まるわけではありません。
私個人としても、積み立てという仕組みを使うことについて異論はありません。お金を貯めやすい仕組みだとは思います。でも、この記事の説明だと、積み立ての良さを同意してもらうことは出来ないでしょう。なぜなら、ロジックが支離滅裂だからです。
もう一つ付け加えると、数ある積立型の商品の中で、財形貯蓄が良い理由がほとんど書かれていないのも問題でしょう。特に物価が上がる時期に財形貯蓄が良い理由は、全くかかれていません。
上に引用した部分に書かれていないのは、一読すればすぐにご理解いただけるでしょう。それ以降の部分を読んでも、財形貯蓄が物価上昇局面で良い理由は全く書かれていません。
つまり、タイトルを読んだ時の私の疑問は、全く晴れなかったのです。本当に物価が上がるとしたら、財形貯蓄をしてお金を貯めても、資産は実質的には目減りするだけです。ということは、物価上昇の局面では適切な商品とは言えないのです。
物価が気になるのなら、物価上昇に対応できる商品を使うべきです
本当に物価が上がるのが問題なら、物価上昇に対応できる商品を使うべきですよね。積立型の商品が良いと思うのなら、株式の投資信託の積立でもすれば良いと思います。
投資信託的な商品で、有利な運用が出来る商品をすすめるとすれば、確定拠出年金の方がいいかもしれません。サラリーマンの場合、使えないケースも多いのですけどね。
別に財形貯蓄が絶対に駄目だというつもりはありません。でも、前提と結論がちぐはぐなんですよね。繰り返しますが、物価上昇でお金が貯まらないと書いているのに、物価上昇で資産が目減りする商品を選んでいるのですから。
例えば、「物価上昇には弱いけれど、元本保証が良いという人に向いた商品」と財形貯蓄を紹介するのなら、何の違和感もありません。
プレジデントは大丈夫なのかなあ
今回のライターの事はさておき、こんな記事を載せてプレジデントとしては大丈夫なのでしょうか。
平均的な読者像を想像してみると、それなりに知的な水準が高い人が読む雑誌と考えるのが自然ですよね。そういう人たちがこの記事を読めば、私と同じような疑問を持つ人だって、少なくないはずなのです。
ちゃんと編集者が読んで判断しているのでしょうか。それとも、あくまでネット用の記事で、ほとんどノーチェックで更新しているのでしょうか。
どちらにしても、こんなもの載せていると、雑誌としての信頼を失いかねないと思うのですけど。編集部の質を疑われてしまいますよ。
まあ、大きなお世話ですけどね。
- 物価が上がる今こそ、ラクに貯められる「財形貯蓄」を始めよう(プレジデント)2014年4月1日 [↩]
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