一般紙などに書かれた金融商品に関する情報には、かなり大きな間違いが含まれていることがあります。あるいは、意図的な嘘が入っている場合もあります。ですから、文字になっている情報をうかつに信じることはできません。
そんな例を一つご紹介しましょう。今回ご紹介するのは「最近はやりの『超短期定期預金』は、結局損なの?得なの?」という記事です。1
Contents
少し高め?
まず、1週間とか2週間で満期を迎える超短期定期預金と呼ばれる商品について書かれています。こうした定期預金は金利が高いのだそうです。
メガバンクの定期預金1年ものの金利年0.025%に対して、金利は年0.1%または0.5%と少し高めなので、一瞬「お得かも!」と思う人も多いと思います。
0.5%という金利が「少し高め」と表現されています。ただ、本当に1か月未満の定期預金で0.5%という金利の商品があるのなら、恐ろしく高い金利と言っていいでしょう。
なぜこの金利が「少し高め」ではなく「恐ろしく高い」のでしょう。それは、10年物国債の年利と比べるとよく分かります。
財務省のサイトの「国債金利情報」というページによると、2015年1月23日現在の10年物国債の金利は、年0.244%なのだそうです。つまり、年0.5%の金利というのは、10年物国債の金利の約2倍の金利ということになります。
一般に、金利というのは、満期までの期間が長ければ長いほど高くなる傾向にあります。それにもかかわらず、同じ元本保証の商品で、2週間の商品の方が10年の商品よりも金利が高いことは通常はありえないのです。
そもそも、2週間の定期預金で金利0.5%の商品があるという情報が、ちょっと信じがたいです。そして、その商品を捕まえて「少し高め」というのは、センスを疑わずにはいられません。
これを書いている時点で、短期の預金で年0.5%などの商品があるとすれば、何かのキャンペーンだとしか考えられません。投資信託の抱き合わせ販売などのためのキャンペーンなら、年0.5%という金利もありうるでしょう。
ということで、書き出しの時点でかなり疑わしい感じが強くします。多分、あまり金融が詳しくない人が書いているのでしょう。
なぜか年利2%でシミュレーション
次に、この記事が全く役に立たない2つ目の理由です。記事の中では、実際にはありえないような高い金利でシミュレーションを行っているのです。ちょっと引用してみましょう。
〈試算例〉
例えば、100万円を3カ月もの定期預金(金利は税引後年2%)に預けた場合預ける金額×金利×預ける期間/365日
100万円×2%×90日/365日=4931円100万円を預けて年2%の金利がつくというと、2万円の利息がつくと勘違いしてしまいますが、「3カ月もの」とは、3カ月で満期が来るという意味なので、もらえる利息は3カ月分(90日分)なのです。
繰り返しますが、これを書いている時点では、0.5%ですら高すぎる金利なのです。2%となると、もはや馬鹿げた数字という感じですね。少しでも金融が分かっている人なら、恥ずかしくて2%なんていう数字は出せないでしょう。
それにしても、何で2%などという数字を出してきたのでしょうか。おそらく、金利を高くして議論しないと、記者の都合のいい結論が得られなかったのでしょう。
記事の中でしている比較を意味があるもののように見せかけるための苦肉の策として、金利2%という数字を持ち出してきたのでしょう。素人が読んでいると思って、いいかげんな事を書いても平気だと思ったのでしょうね。
ここまで出鱈目な例は珍しいとしても、いいかげんな記事というのは少なくありません。金融商品に関しての記事を読むときには注意が必要です。といっても、知識が無いと、なかなか見抜くのは難しいでしょうけどね。
- 最近はやりの「超短期定期預金」は、結局損なの?得なの?
Suits-woman.jp 1月26日 [↩]
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