毎日新聞に、ゆうちょ銀行の預け入れ限度額の引き上げに関する記事が載っていました。現在1,000万円である預け入れ限度額を、3,000万円まで増える可能性がありそうです。1
もう少し正確に書くと、「郵政事業に関する特命委員会」というところが提言をまとめたそうです。この委員会は、自民党が作ったものということですね。そして、その提言の一つが預金の限度額の引き上げという事です。
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提言の内容をチェックしてみよう
毎日新聞の記事を元に、提言の内容を確認してみましょう。
まずは、どういったスケジュールで3,000万円まで上げるかという点です。
提言では、今年秋までに限度額を2000万円まで引き上げ、2年後までに3000万円に上げる。かんぽ生命保険の加入限度額も現行の1300万円から2000万円に引き上げる。
2,000万円まで引き上げるのがこの秋ってというと、10月くらいのイメージなのでしょうか。となると、もう半年も残っていません。かなり急ぎのスケジュールという感じですね。
そんな短期間に引き上げを決めてしまえるのでしょうか。ちょっと疑問はあります。
詳しいことは知りませんが、法律の変更きはおそらく必要ですよね。その上、システム的な対応も必要な可能性が大きいです。となると、やっぱり、秋までにというのは厳しそうです。
ちなみに、さらっと書いてありますが、生命保険の限度額も引き上げるという提案もされているのですね。これも、生保会社の抵抗がありそうですね。
ゆうちょ銀行の利用者から希望があったというのが変更する建前のようです
さて、このような変更がされる理由ですが、ゆうちょ銀行の利用者から要望があったというのが建前のようです。記事から引用してみましょう。
ゆうちょ銀の利用者から「退職金をもらうと限度額を超えてしまうので引き上げてほしい」などの要望が多く、自民党は昨年の衆院選公約で「限度額見直しを検討する」としていた。
確かに、1,000万円という上限が設定されていると、使い勝手が悪いのは事実です。普段使う分には問題は無いのですが、少し大きいお金が動くと上限を超えてしまいます。ですから、この理由もまんざら出鱈目とは言えません。
でも、もちろん、それだけでは無いはずです。関係者の利権拡大という部分が、モチベーションに無いはずはありません。
ゆうちょ銀行としては、1,000万円という上限は経営上の足かせだという認識を持っているはずです。ですから、それを取り外したいという思いは、ずっと持っていたことでしょう。政治家に働きかけた結果、今回のような提言につながったと考える方が自然ですよね。
政府としても、1,000万円枠の撤廃はしたかったようです。これから株式を公開するにあたって、1,000万円枠がないほうが、株価が高くなる可能性が大きいからです。
まあ、よこしまな動機があるとは言え、ユーザーの立場からは1,000万円の上限なんて無い方が間違いなく便利ですけどね。
民間の金融機関の反発は強いでしょう
この動きに対して、民間の銀行は強く反発しています。公平性の観点からけしからんというのが言い分です。
民間の銀行は、政府がゆうちょ銀に間接出資している間は事実上の政府保証があり、公正な競争にならないとして引き上げに強く反対している。全国銀行協会の佐藤康博会長(みずほフィナンシャルグループ社長)は18日の定例記者会見で「地域金融機関の預金や顧客が流出して地域や金融システムに甚大な影響を与えかねない。明確に反対する」と表明した。
確かに、メガバンクはともかくとして、地方銀行や信用金庫などは気になるところでしょうね。普通の銀行や信用金庫が1,000万円の保証枠で経営しているのに、ゆうちょ銀行だけ3,000万円の枠があれば、不公平には違いがありません。実際に預金流出があれば、経営への影響も否定できませんしね。
実際どこまで影響があるかは、正直なところ現時点ではよく分からないでしょう。ただ、自分達にとって確実にマイナスな動きには、ブレーキをかけておきたいはずです。
ですから、まあ、予想通りの反応が返ってきたという感じでしょうね。
たいした影響は無いと思う
でも、全国銀行協会の会長が言うような預金の流出は、そんなにあるのでしょうか。
もちろん、全く無いとは言いませんけどね。でも個人的には、それほど大規模なものは無いように思います。
というのも、現在の仕組みだと元本1,000万円とその利息は保証されています。そして、1,000万円以上の現金・預金を持っている人は、そのことを理解して既に複数の金融機関に振り分けてあるでしょう。
そういう人たちが、わざわざゆうちょ銀行に資金を集めるとは思えないのです。別に、ゆうちょ銀行の金利が著しく高いわけでもないですからね。
それに、元本保証で高い金利を求めるのであれば、個人向け国債でも買えば良いんですよね。個人向け国債なら銀行預金よりは遥かに金利が高いですし、契約から1年経てば元本保証で解約ができます。
反対の原因として可能性がより大きいのが、退職金などの受け取り口座にゆうちょ銀行を指定されるケースを懸念しているからでしょうか。本来は他行で受取るはずだったお金がゆうちょ銀行に行くことになるので、その点に関しては他の銀行は確実に損になります。
多分、直接的な預金の流出よりは、こういう影響の方が大きいような気がします。最近は、ラップ口座などの金融商品を導入して、退職金を使って一儲けしようとしている金融機関が多いですからね。
公平性の観点からは急ぎすぎな気がする
他の銀行に実害がどの程度あるかは別にして、公平性という観点から考えると、ちょっと急ぎすぎな感じはします。
現在のゆうちょ銀行は事実上政府保証があると考えられています。その段階で預金の上限が3,000万円まで引き上げられると、事実上3,000万円の政府保証が付くことになりますよね。
一方、民間の銀行は、預金保険機構の1,000万円の保証しかありません。ということは、ゆうちょ銀行の方が差額の2,000万円分だけ保証される額が大きいことになります。
やっぱりこの事実は、公平性の観点から問題視されるでしょう。民業圧迫につながる可能性がある以上、そんなに急いで上限をいじるのは公平では無いですよね。
上限を上げたければ、ゆうちょ銀行が上場し、政府の持ち株が5割を切ってから検討すべき話だと思われます。まあ、自民党としては、上場する前に収益力を上げておきたいという皮算用もあったのかもしれないですけどね。
おそらくは、この試みは潰されるのでは無いかと思っています。でも、今の自民党だと力があるので、強行する可能性が無いとは言えませんけど。
- <ゆうちょ銀>預け入れ限度3000万円に引き上げ提言へ
毎日新聞 2015年6月18日 [↩]
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