貯蓄の仕組みの一つに、財形制度というものがあります。財形と言う名前は、聞いたことがある人も多いでしょう。
ところで、この財形というのは、一体どういう制度なのでしょうか。貯蓄に有利な仕組みなのでしょうか。それ以外のメリットはあるのでしょうか。
まずは概要を確認してみましょう。
Contents
財形制度って何?
財形制度は正式には、「勤労者財産形成促進制度」という制度の事を指します。「勤労者財産形成促進法」という法律によって決められた公的な貯蓄を支援する仕組みです。
「勤労者」という名称が付いていることから分かるように、働いている人のための仕組みです。特に、サラリーマンの事を指していると考えて良いでしょう。
財形制度を使うと、給与などから天引きする形で、自動的にお金を貯めていくことが出来ます。ですから、何か目的があってお金を貯めたい人には、とても使い勝手がいい仕組みと言えるかもしれません。給与からの天引きなので、確実にお金は貯まりますからね。
ちなみに、給与から天引きされたお金は、金融機関に積み立てられることになります。具体的には、預貯金のほか、生命保険、損害保険、投資信託などで運用されます。どこで運用されるかは、契約時に本人が選ぶ事が可能です。
どんなメリットがあるの?
財形で取り扱う金融商品の中には、減税措置が適用されるものもあります。具体的には、利子などの所得が非課税になります。1
また財形貯蓄をしていると、住宅を取得するときや増改築するときに、融資を受けられる仕組みもあります。
この2つが主なメリットだと考えてよさそうです。
どんなタイプがあるの?
一般財形貯蓄、財形住宅貯蓄、財形年金貯蓄の3つのタイプがあります。
誰でも利用できるの
財形制度は、会社を通して金融商品の積立を行う仕組みです。ですから、会社が財形制度を導入していないと、利用することは出来ません。
正確に書くと、個人事業主でも財形制度を取り入れている人がいるようです。そういう人の下で働く場合も、財形制度を使うことは可能です。
ただ、そもそも個人事業主本人などの給与所得者以外の人は、利用することができません。その上、会社員でも会社が仕組みを導入していなければ、利用できない場合が多いということです。
利用するにはどうしたら良いの?
会社を通じて申し込むことになります。
一般財形貯蓄の概要は?
給与から毎月一定額を積み立てる商品だと考えるとわかりやすいでしょう。ボーナスを積み立てる事も可能です。貯蓄目的に制限は無く、誰でも気軽に使うことが可能です。
基本的には、積立限度額がありません。ただし、積み立てる商品によっては、上限が決まっている場合もあります。例えば、生命保険3,000万円、郵便貯金1,550万円などの上限があります。
一般財形貯蓄には減税制度はありません。そのため、他の財形制度の商品と比べると、メリットが小さく感じられるかもしれません。
ちなみに、1人が複数の契約をする事も可能です。A銀行に毎月1万円、B生保に毎月1万円と言うような積み立て方も出来るわけですね。
原則として3年以上の期間、定期的に積み立てる事という縛りがあります。ただ、貯蓄開始から1年経過した後は、自由に払いだすことが出来ます。
財形住宅貯蓄の概要は?
積立の部分に関しては、一般財形貯蓄と類似しています。毎月一定額を積み立てていくと言う仕組みは同じですし、会社を通して申込、給与から天引きされると言う部分も共通しています。ちなみに、積立期間は5年以上と決められています。
財形住宅貯蓄の大きな特徴は、非課税枠があるという点です。「財形年金貯蓄」と合わせて、貯蓄残高550万円まで利子等に税金がかかりません。ですから非課税枠を気にする人は、残高が550万円を超えないように注意が必要です。2
ただ、住宅の建設、購入、リフォーム以外の払い出しの場合は、利子などに対して課税されます。目的外での引き出しですから、免税の優遇は無いということですね。しかも、過去5年にさかのぼって、この期間の引き出し全てに課税があります。3
さらにいうと、住宅購入やリフォーム目的の払い出しでも、利子などに所得税がかかる場合もあります。例えば、床面性が50平方メートル以上などの要件を満たさない場合、利子などに所得税がかかります。率直に言って、結構窮屈な仕組みという感じがしますね。
ちなみに、財形住宅貯蓄は誰もが利用できると言うわけではありません。満55歳未満の勤労者という条件が付いています。4
財形年金貯蓄の概要は?
基本的な積立の仕組みは他の財形貯蓄と同じで、給与から一定額を天引きする仕組みです。名前から分かるように、老後の資金作りのための貯蓄です。
ちなみに、財形年金貯蓄も利子などに対する非課税枠があります。「財形住宅貯蓄」と合わせて貯蓄残高550万円まで、利子等に税金がかかりません。5
財形年金貯蓄で貯めたお金は、年金の形で受取ることができます。具体的には、満60歳以降に5年以上20年以内の範囲で年金を受取れます。また、保険を選んだ場合は、終身での受取りも可能です。6
年金以外の目的で払いだすことは可能ですが、一旦払い出してしまうと非課税措置は認められません。また、引き出した以外の部分も財形年金貯蓄とはみなされなくなってしまいます。
ちなみに、財形年金貯蓄を契約するには55歳未満である必要があります。また、積立期間は5年以上が必要です。
財形年金貯蓄でちょっと特徴的なのが、保険を利用した場合は利子差益非課税が払込額385万円までと決められている点です。保険を利用する場合は、十分に留意しておいた方が良いでしょう。
財形持家転貸融資
財形貯蓄をしている人は、財形持家転貸融資という住宅ローンを借りることが可能です。財形貯蓄をする最大のメリットは、実はこの融資かもしれません。
この財形持家転貸融資を使うためには、勤め先の会社が「財形持家転貸融資規程」を作成するなど、環境を整えていることが必要です。ですから、財形に入っている人全てが利用できるわけではありません。
有利な制度ではありますから、持家の購入を考えている人などは、会社に確認してみると良いでしょう。面倒な審査と無縁でいられますから、その意味でも便利な仕組みと言えそうです。
ちなみに、いくら借りられるかですが、財形貯蓄の残高の10倍相当まで借りることが出来ます。200万円の残高があれば2,000万円まで借りられるということですね。ただ、最高額が4,000万円と決まっているので、それ以上は借りることが出来ません。
また、物件にも条件が付くので、どんな物件で認められるかの確認も必要でしょう。例えば、マンションの場合、中古でも新築でも40平方メートル以上という条件があります。
このあたりを確認した上で、有利だと判断できれば、まずは財形貯蓄から初めてみるといいでしょう。
- 税率が高い時代には、それなりにメリットはあったかもしれません。しかし、今のようなご時勢だと、ほとんど価値が無いものと言う感じが強くします。というのも、少しでも金利が良い金融機関を探した方が、はるかにメリットが大きいからです。 [↩]
- まあこの程度の額だと、たいした利子は期待できません。ですから現状だと、たいして気にする事も無いように思います。 [↩]
- もっとも、金利が低い時期なら、たいして気にする必要は無いでしょう。 [↩]
- 住宅向けの貯蓄なので、ある程度の年齢以下の人限定という事なのでしょう。リフォーム需要を考えたら、特に年齢制限を設ける必要性は感じませんが。 [↩]
- 年金目的の貯蓄なのに、550万円は額が小さすぎる気がします。これだけでも使い勝手が悪いですね。 [↩]
- 長生きする自信がある人は、終身での受取がおすすめです。 [↩]
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