有利な制度として紹介されることがある財形制度ですが、本当に有利な制度なのでしょうか。このページでは、そのあたりについて考えてみましょう。
まず、結論から書いてしまうと、貯蓄商品として考えると財形にメリットはほとんどありません。なぜかと言うと、財形制度には、税制の優遇が利子などに対する免税くらいしかないからです。
ですから、残念ながら、有利な制度とは程遠いと言うのが現状です。
それでは、もう少し細かくチェックしてみることにしましょう。
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利子などに対する減税はどの程度有利なのか?
利子などに対する減税は、どの程度のメリットなのでしょうか。まずは、具体的な数字で考えてみましょう。
仮に金利を年0.1%とし、限度額一杯の550万円を預けていたとします。そうすると、1年間の利息は5,500円となります。源泉分離課税を選んだ場合、この5,500円に対する約20%の税金が免税されるのです。1 つまり、1年で1,100円のメリットしかないわけですね。
550万円も投資して、1年に1,100円程度のメリットしかないのでしたら、もっと有利な条件の金融商品を選ぶ方が合理的でしょう。もちろん、財形で取り扱う商品の中に素晴らしい商品があるのなら、利用したら良いとは思いますけどね。そうでない場合は、財形以外の選択肢を考えてみましょう。
最近は、積み立て型の金融商品がかなり増えています。例えば、ネット証券では、積立に対応している投資信託も増えています。財形で取り扱う商品よりも有利なものを見つけられる可能性は大きいです。さらにいうと、株式の積立すら可能です。
もちろん、元本保証タイプの積み立て型の金融商品もたくさん存在します。ですから、純粋に金融商品として見た場合、財形に縛られる意味はほとんどありません。
会社が上乗せする場合もある
ただ、一般の金融商品で貯蓄をするよりも、財形を使った方が有利な場合が無いわけではありません。「財形給付金制度」や「財形基金制度」という仕組みがあるのですが、これを取り入れている会社の場合、財形の利用者に対して企業から上乗せ給付があるのです。
この上乗せ給付があれば財形貯蓄が絶対に有利というわけでもありません。でも、この給付がある場合は財形について検討してみても良いかもしれませんね。
財形制度の大きな弱点| 特に、老後の資金をためるために使ってはいけない
さらに、財形には大きな弱点が存在します。それは、生命保険料控除が使えないのです。
財形年金の中には、生命保険会社の商品を積み立てるタイプのものも数多くあります。しかしこれらの商品を使っても、生命保険料控除が使えません。
現在の低金利の状況を考えると、財形貯蓄を使って利子などにかかる所得税を非課税にするよりも、生命保険料控除が使えるほうが有利です。つまり、生保会社を使って貯蓄をする場合は、財形年金貯蓄を使わない方が有利な可能性が大きいのです。
財形貯蓄がもっとも不利に働くのは、老後の資金を貯めるために財形年金貯蓄を使う場合です。老後の貯蓄の場合は、生命保険料控除の中に個人年金保険料控除額という区分があります。老後資金をためる場合には、普通に生命保険会社と契約すれば、この控除を使うことが可能です。そういった契約をした方が、まだ有利な可能性が大きいわけです。
さらにいうと、確定拠出年金と言うさらに有利な仕組みが利用できる可能性もあります。はっきり言って、老後資金の準備のために財形貯蓄なんて使ってはいけません。
不動産の取得を考えている人にはおすすめ
ちなみに、貯蓄以外の部分では、有利と言える点が無いわけではありません。具体的には、不動産を取得したい人には、財形制度はメリットが大きいでしょう。
財形持家転貸融資制度という仕組みがあり、不動産の購入や修理のときに、貯蓄額の10倍まで借りることが出来るのです。一定の条件さえ満たせば利用できる、確実にお金が借りられる優れた仕組みです。
物件に条件があったり、借りられる金額に条件があったりと、不自由な面があるのは事実です。ただ、確実にお金が借りられるという意味では、間違いなく有利な制度と言えるでしょう。
将来不動産を取得する予定がある人は、利用を検討してみても良いかもしれません。
それ以外の人には、無理に財形制度をおすすめする気にはなれません。
- 厳密に書くと「復興特別所得税」もかかるので、20.315%の所得税が徴収されます。 [↩]
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