ここ数日、配偶者控除の見直しを考えているという報道がされています。配偶者控除の見直しに関しては、安倍首相も積極的なようです。
毎日新聞の記事から、引用してみましょう。
「女性が就業調整を意識せずに働くことができるようにするなど、多様な働き方に中立的な仕組みをつくる必要がある」。安倍晋三首相は、9日の政府税調の総会で配偶者控除の見直しに意欲を示した。1
このように発言しているという事は、現在は「多様な働き方に中立的な仕組み」になっていないという事ですね。上手くいっていないから是正しようという話になっているわけです。
働きすぎると損をする仕組み
そもそも配偶者控除というのは何かというと、年収103万円以下の配偶者を持っている場合、38万円の所得控除が受けられるという仕組みです。一般的には、妻が専業主婦やパートタイマーなどの場合、夫の所得税が安くなるというわけですね。
この仕組みの問題点は、夫が配偶者控除を受けられるようにするために、妻が年収103万円以下に仕事をセーブするケースがあることです。本来はもっと働けるのに、税制上の都合で働かない場合があるわけです。
現在の政府は女性にもっと働いてほしいと思っているようです。その障害になっている仕組みを変更しようと思うのは自然なことと言えるでしょう。
配偶者控除は金持ち優遇になっている
また、公平性の観点からも、配偶者控除に批判的な人もいます。具体的には、金持ちに有利な仕組みとも考えられるのです。
配偶者控除を受けている人の中には、夫の所得が大きい家庭も含まれるでしょう。夫の所得が大きいと、妻が働く必要がありません。それで、妻が専業主婦になっているというケースが考えられるのです。
でも、夫の所得が多いから妻が働いていない世帯で、減税する必要があるのでしょうか。かなり疑問ですよね。
しかも、夫の所得が大きい場合は、所得税の税率も高くなります。ということは、経済的に貧しい人以上に専業主婦家庭の減税額が大きい事になるのです。
夫婦控除を入れることでシンプルな仕組みに
このような配偶者控除の問題は、かねてから指摘されていました。そこで、配偶者控除を廃止して、新たな控除を入れようという話になっているわけです。
具体的に検討されているのが、「夫婦控除」という控除です。どんな控除かというと、夫婦がいる場合には、収入などにかかわらず、一定の控除が受けられるという仕組みです。
こうすれば103万円問題がなくなり、女性が働きやすくなるというわけですね。仕組みとしては、非常に分かりやすいでしょう。
配偶者控除よりも控除額は減るでしょう
ただ、この制度変更は、反発を招く可能性が大きそうです。なぜなら、控除額は配偶者控除の38万円よりも減る可能性が大きいからです。
そもそも配偶者控除というのは、配偶者が一定の条件を満たす場合にのみ適用された控除です。しかし、夫婦控除という事になると、結婚しているすべての人が対象になります。
という事は、夫婦控除の控除額を配偶者控除と同じにしてしまうと、税収の減り方がかなり大きくなるわけですね。対象人数が増えますから。
そうなると、夫婦控除の控除額は配偶者控除よりも小さくなる可能性があります。現在配偶者控除が適用されている家庭にとっては、増税になる事も考えられるわけです。これは反発を招くでしょう。
仮に控除額を保つとなると、別の部分で控除額を減らすなどの工夫が必要になります。ですから、結局誰かのところにしわ寄せがいくわけですね。
これはなかなか悩ましい問題でしょう。これまで配偶者控除が問題になりつつも、何年も変えられなかった理由がよく分かります。
さて、今年度は話をまとめることができるでしょうか。安倍内閣は強い政権と言われていますから、可能性はありそうですけど。
- <政府税調>配偶者控除見直し着手…「夫婦控除」検討
毎日新聞 2016年9月9日 [↩]
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