遺言と遺書って違うものなのでしょうか。遺言にはどんな種類があるのでしょうか。簡単に整理してみました。
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遺書と遺言って違うものなの?
よく、遺書を残すという言葉を聞くことがあります。自分の死後の葬儀の方法やら財産の配分やらをその中に記しておくわけですね。
でも、遺書を残しても、法的な拘束力は生まれないって知っていました?なぜかというと、民法に定められている一定の方式によらないものは、法的な効力が無いからです。
もちろん、遺書が残っていれば、遺族も斟酌して対応するとは思いますよ。故人の遺志を損著したいと思うのは、自然な感情ですから。でも、どうしても譲れないような事があったら、遺書通りに事が運ばない場合もあるでしょう。
例えば財産の配分がひどく偏ったものであったら、反対する人がいても不思議ではないですよね。
ですから、ただ遺書を残すだけではダメで、民法の定める形式で残さないといけないのです。法的な効力を生じさせるように、民法が定める方式で残したものを遺言と言います。
要するに、遺書というのが広い概念としてあって、その中で法的な効力があるものが遺言というわけですね。
ですから、遺書は思い立ったらすぐに書くことが出来ますし、ワープロソフトで書くことも出来ますが、遺言となるとそうもいかないわけです。色々下調べをして、準備万端で書く必要があります。時には第三者の手を借りないといけないケースもあります。
この違いは知っておいて損は無いでしょう。
余談ですが:
ちょっと余談ですが、遺言書で子供を認知することも可能です。生前何らかの理由で認知できなった子供がいる場合、遺言書で認知して、財産を渡すことも出来るわけですね。まあ、家族はびっくりでしょうけど。
自筆証書遺言と公正証書遺言
さて、遺言についてもう少し詳しく見てみましょう。実は遺言といっても1つの決まった方式があるわけではありません。3つの方式が定められています。
この3つの方式のどれかに従わないと、法的に効力がありません。ですから、この3つに関してはしっかりと理解することが必要です。
自筆証書遺言
一つ目が自筆証書遺言です。
自筆証書遺言は文字通り自筆で書かれた遺言書です。ワープロ書きや他人に書いてもらったものは無効なので注意が必要です。また、日付・自筆の署名・押印がないものも効力がありません。
自筆証書遺言は、遺言を残した人が亡くなった後に、家庭裁判所で検認という手続きをする必要があります。検認とは家庭裁判所が遺言書の形式や状態などの現状を調査し、偽造・変造を防ぐために行う手続きです。
亡くなってから色々とあるわけですね。
公正証書遺言
公正証書遺言は公証人によって作成される遺言です。遺言内容は遺言者の口述した内容を公証人という人が整理して文章にしてくれます。
公証人が文章を書いてくれるので不備などで無効になる恐れがありません。また、公証人が相談にのってくれるというメリットもあります。
ちなみに公証人は、裁判官、検察官等の法律実務の経験が豊富な法律の専門家がなります。公務員の一種ですね。公の証人だから公証人です。
ということで、確実性が高い方法だといえます。
また、原本は公証役場で保管してくれるので安全性が高い方法です。原本を保管してくれるということは、誰かに勝手に書き換えられるリスクが無いということですからね。紛失の恐れもありません。
ただ、当然お金はかかります。財産の価額によって手数料は異なるようですね。そんな大金持ちでも無ければ、数万円程度で済みそうです。まあ、この程度なら必要経費だと思って割り切れますかね。
それに加え、公正証書遺言では証人2人の立ち合いが必要です。証人は誰でもなれるというものではありません。「未成年者」「遺言で財産を譲りうける人、その配偶者、その直系血族」「公証人の配偶者」「4親等内の親族」などは証人になれません。このあたりもちょっと厄介な点です。
ただ、適当な証人が見当たらない場合には、公証役場で紹介してもらうことができます。ですから、立会人に関しては、なんとか確保できると考えておいていいでしょう。
秘密証書遺言
この他に、秘密証書遺言というのもあります。ただ、秘密証書遺言に関しては、あまり使われないようですね。
自筆証書遺言のメリット・デメリット
それでは、自筆証書遺言を選ぶメリットとエメリットについて見てみましょう。
自筆証書遺言のメリット
証人や立会人を必要とせず自分ひとりで作れるので、遺言書を作成した事を秘密にできます。また、自分で作成しますので費用面では安く作成する事ができます。
やっぱり、コスト面の利点が大きいのでしょうか。まあ、公正証書遺言を選んでも、数万円程度ですけどね。
あと、遺言書を作成した事を秘密にしていたら、遺言書に誰も気づかなかったなんてこともありそうですね。あるいは、内容が気に食わない人が見つけて、隠ぺいしたとか。メリットと同時にデメリットになりそうな気もします。
自筆証書遺言のデメリット
自分で作成するために法律の定める要件を満たさないと無効になる恐れがあります。また、紛失や忘失の恐れもあります。
ありがちなのがワープロソフトを使ってしまう事でしょうか。法律で定める要件を満たさずに無効というケースは、結構ありそうですね。
それに、全部手書きとなると、結構大変ですよね。特に、高齢の人が書くことになる可能性もあるわけですから。
その意味で、公正証書遺言を選んだ方が良いのかもしれません。自筆証書遺言は結構デメリットが大きい印象です。
公正証書遺言のメリット・デメリット
次に、公正証書遺言を選ぶメリットとデメリットについてです。
公正証書遺言のメリット
公証人が作成してくれるので不備などで無効になる恐れがありません。また、公証役場で保管もしてくれるので紛失や偽造などの恐れもありません。
やっぱり、確実性というのがポイントでしょうね。特に確実性が重要視されるものですから、このメリットはかなり大きいと思います。
公正証書遺言は、基本的には、公証役場で作成されます。しかし、体力的な問題などで遺言者が公証役場に出向けないようなケースでは、公証人が自宅や病院などに来て遺言書を作ることもできます。
また、公正証書遺言の場合は、自筆証書遺言で必要だった家庭裁判所で検認の手続を経る必要がありません。相続開始後、速やかに遺言の内容を実現することができます。これもメリットと言えるでしょう。
公正証書遺言のデメリット
作成に高額の費用がかかります。また、立会人が必要になるため、証人には秘密を守ってくれる信頼できる人を選ばなければなりません。
まあ、コストの問題は、必要経費だと思うんですけどね。それでも、気にする人もいるんでしょうね。
あ、コストがかかるので、頻繁に変更できないというのはあるのかもしれません。
それに加えて、証人が必要だというのも、意外と高いハードルかもしれません。上に書いたように、親族を証人にするのは難しそうです。しかしながら、相続に友人を関係させるのも嫌ですよね。
そうなると、弁護士や税理士などにお金を払って頼むという事になるのかもしれません。この点でも、支出はありそうですね。
まとめ
確実に遺言を残そうとするなら、公正証書遺言を選択する方が良いでしょう。多少のコストはかかりますけど。
自筆証書遺言を選ぶ場合は、しっかり勉強してからにしましょう。フォーマットに誤りがあり、効力がなくなるものも多いようです。自分が残したい人に残せないなんて、最悪ですからね。何のための遺言だっていう話になってしまいます。
ちなみに、私の父親は、公正証書遺言を選んだそうです。詳しい中身は聞いていませんけど。
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