私たちの給料からは、毎月税金がとられています。でも、その税金の額はどうやって決まっているのでしょう?正直、よく分からないですよね。
このページでは給料から引かれる税金の求め方(基本的なパターン)をご説明します。細かい所までは書けないので、詳しく知りたい方は専門の書籍などをご参考になさってください。
Contents
私たちの給与にかかる税金
私たちの給料にかかる税金には所得税と住民税があります。
給料のほかには、次のようなものが所得税・住民税の課税対象となります。
- マンションの一室を貸していて家賃収入がある場合
- 個人で商売をやっている場合
- 銀行に預けた利息の利子
- 年金や退職金
多少の例外はありますが、何か収入があれば所得税を取られると思って間違いないでしょう。
所得税はどのように計算するのでしょう
それでは所得税は実際にはどのように計算されるのでしょう?所得税がいくらかかるかを知るには次の1〜4のステップで計算して求めます。
- 所得額が決まる
- 課税対象所得が決まる
- 税額を求める
- 税額控除を差し引く
以下、具体的に見ていきましょう。
STEP1 所得額を求める
まず、収入から所得を求めます。この所得が税金をいくら取るかの基礎になる金額です。
「サラリーマンの所得って給与の額と同じじゃないの?」と考えている人も多いでしょう。でも、実はサラリーマンの所得は給料の額とは違うものなのです。
では、実際に所得の求め方を見てみましょう。
収入から所得を求める
所得というのは収入から経費を引いた金額のことを言います。
所得=収入−経費
例えば、八百屋をやっている人なら、所得は売上げから商品の仕入れ代金やレジ袋の購入代金などの必要経費を引いて求める事ができます。あるいは、マンションを貸して賃貸料もらっている人の場合は、家賃収入から管理費などの経費を引いて所得を求める事ができます。
収入が入ってきたお金全部なのに対して、所得は実際の儲けを意味するわけです。
サラリーマンの給料は収入にあたります。そこから経費を差し引いて所得を求めるわけです。
サラリーマンの必要経費ってどうするの?
といっても、サラリーマンの必要経費ってどうやって決まるのでしょう?
現在の制度では、給料の額に応じて必要経費を認めてあげようということになっています。つまり、給料から税金を計算する際に知らないうちに必要経費を引いてくれている(税金をまけてくれる)わけです。
この経費として認められる金額のことを給与所得控除額と呼んでいます。給与所得控除額は以下の表により計算されます。
給与収入金額 | 給与所得控除額 |
180万円以下 | 給与収入金額×40%(65万円に満たない場合は65万円) |
360万円以下 | 給与所得金額×30%+18万円 |
660万円以下 | 給与所得金額×20%+54万円 |
1,000万円以下 | 給与所得金額×10%+120万円 |
1,000万円超 | 給与所得金額×5%+170万円 |
具体的に計算してみましょう
具体的に計算してみましょう。
年収500万円のサラリーマンの場合、給与所得控除額は次のようになります。
(給与所得控除額)500万円×20%+54万円=154万円
収入金額の500万円から給与所得控除額の154万円を差し引くと、給与所得が決まります。
(給与所得)=500万円−154万円=346万円
この場合は、給与所得が346万円である事がわかります。つまり、年収500万円のサラリーマンには154万円程度の経費がかかっているだろうと国が認めてくれているわけです。
サラリーマンの経費は意外と多めに認められている
実際は年収500万円のサラリーマンに154万円の経費がかかっているとは考えにくいですよね。サラリーマンが仕事のために使うお金は、大きいものではせいぜいスーツ代とかかばん代くらいではないでしょうか。
その意味では、サラリーマンにとって有利な仕組みになっているといえます。
さて次は、収入から計算した所得を元に課税対象所得を求めることになります。
STEP2 課税対象所得を求める
STEP1で求めた所得の金額から各種の控除(所得控除といいます)をして、税金をかける対象になる所得を求めます。このように書くとなんだか難しい感じがしますね。
具体的に何をするかというと、生活に掛かったコストを考慮して、税金をかける対象となる所得を下げてあげようという仕組みです。
所得が下がると所得税は安くなります。要するに、税金の割引があるわけですね。
どんな所得控除があるの?
例えば、健康保険の保険料分は所得税の対象となる所得から引く事ができます。あるいは、仕事をしていない妻がいるときも、所得から一定額を引いてあげることになっています。
所得から控除をした後の金額を課税対象所得といいます。
課税対象所得=所得−所得控除
控除で有名なのは、年金や健康保険の保険料を控除してくれる「社会保険料控除」や奥さんが働いていない場合などに認められる「配偶者控除」などですね。
そのほか、代表的な所得控除としては次のようなものがあります。
- 基礎控除:納税者全員が無条件に一律に38万円控除されます
- 配偶者控除:配偶者の所得金額が38万円以下のときに38万円控除されます
- 社会保険料控除:社会保険料(厚生年金の保険料・健康保険の保険料・雇用保険の保険料など)が全額控除されます
- 生命保険料:生命保険料や個人年金の保険料支払額に応じて計算した保険料が控除されます
- 医療費控除:医療費がたくさんかかった年(10万円以上)は医療費の一部が控除されます
確定拠出年金や生命保険は所得控除を使った節税の仕組み
余談ですが、この控除を使った節税ができる制度に、確定拠出年金(個人型)があります。このシステムでは、保険料が全額所得控除の対称になります。
つまり、
すごいお得です。
確定拠出年金も、一応、所得控除を使った節税の仕組みではありますね。確定拠出年金(個人型)ほどのメリットはありませんけど。
毎年見直しがあるので注意を
所得控除に関しては、毎年見直しがあります。最新のものは、タックスアンサーという国税庁のサイトなどでチェックしてください。
これらの控除を差し引くと、課税対象所得は思ったよりも小さくなっていることと思います。可能な限り利用するのが重要です。
せっかく税金を安くしてくれると国が言っているのですから、使わない手はありません。
その他の所得控除や、具体的にいくら安くなるかもタックスアンサーを参考にしてください。
STEP3 税額を求める
STEP2で計算した課税所得を元に所得税の税額を求めます。この計算は、課税所得に応じて計算方法が若干違います。
課税所得金額 | 税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円超 330万円以下 | 10% | 9.75万円 |
330万円超 695万円以下 | 20% | 42.75万円 |
695万円超 900万円以下 | 23% | 63.6万円 |
900万円超 1,800万円以下 | 33% | 153.6万円 |
1,800万円超 4,000万円以下 | 40% | 279.6万円 |
4,000万円超 | 45% | 479.6万円 |
ちなみに、この表は2018年1月に確認しています。最新のものは、各自チェックしてください。すぐ見つかると思います。
課税所得が分かれば、上の表を元に税額を計算できます。例えば次のような感じです。
課税所得が200万円の場合:200万円×10%−9.75万円=10.25万円
課税所得が400万円の場合:400万円×20%−42.75万円=37.25万円
ご存知の方が多いでしょうが、日本の所得税は累進課税という方式がとられています。これは、所得が多い人は、所得税の税率が高いという仕組みです。
上の表を見ると、それがわかっていただけるとお思います。
税額控除でさらに安くなる場合も
さて、基本的には、ここでの計算結果が実際の納税額になることが多いです。ただ、更に税金の割引を受けられる場合もあります。
この割引は、計算した税額から更に割引くので税額控除と呼ばれています。
STEP4 税額控除
STEP3で計算した税額から、さらに税額控除という控除を受けられます。上で計算した税額から直接差し引く事ができる控除なので、税額控除といいます。
【税額控除の概要】
- 配当控除:
配当金というのは企業の利益の分配で既に法人税が課税された後の利益から出されるものです。その配当に所得税を課税すると税金の二重取りになってしまいます。そこで、配当金による所得には一定の税額控除が受けられます。
細かい理屈はおいておくとして、株や投資信託の配当所得がある人は税金の割引を受けられると覚えておきましょう。
- 住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)
住宅を取得したり増改築した時に住宅ローンを組んだときに、一定の条件を満たせば税額控除が受けられます。
住宅ローン特別控除に関しては、こちらもチェックしてみてください。
結局、STEP3で求めた所得税額から、この控除を差し引いた額が実際に収める所得税の額になります。
STEP3で計算した税額−税額控除=実際に納める税額
まとめ
ここまでの話をまとめてみましょう。
所得税計算の手順
所得税の計算は、以下のような4つのステップを踏みます。
(1)給与から所得額を求める
(2)所得額をもとに課税対象所得を求める
(3)課税対象所得をもとに税額を求める
(4)税額からさらに税額控除を差し引き実際の納税額を求める
はっきりいって、結構大変です。慣れていない人は、混乱するでしょう。
とりあえず、税金を計算する時の所得は、給料から色々な控除を差し引いた額だと覚えておきましょう。基本的に、控除は自己申告ですから、申告漏れが無いように注意が必要です。
サラリーマンの場合は、年末調整のときに行うのが一般的です。しかし、サラリーマンが確定申告をしても問題ありません。
あと、サラリーマンは基本的に経費が認められていません。代わりに給与所得控除という控除があります。これも覚えておきましょう。
この額は、一般的に経費で使う額よりも高額です。サラリーマンは所得が補足されていて税金は不利だといわれていますが、有利な面もあるということです。
あと、一般的には給与にかかる税金よりも年金や健康保険の保険料の方が負担が大きいようです。お金がかかるのは社会保険だということを覚えておきましょう。
所得税に関しては、大体このあたりでしょうか。かなり長くなりましたが、最後まで付き合ってくださった方、お疲れさまでした。
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