ついつい忘れがちですが、金融期間というのは倒産することもありえます。実際にバブル後の不良債権処理に失敗し、多くの金融機関が倒産しています。
ここ最近は、大型の倒産は起こっていませんけどね。当時のことを考えれば、大手の金融機関といえども安泰とは言えないのです。
金融機関が倒産したときに、私たちにとっての最大の心配事は、私たちの預金や株式は無事なのかという点でしょう。とりあえずこのページでは、銀行などが倒産したとき預金がどうなるかについてチェックしてみましょう。
Contents
大手の金融機関でも倒産する事がある
資産運用で気になることの一つが、万が一金融機関が潰れたときにどうなるかです。これまで記にしていなかった人は、是非気にしてみてください。とても大事なことですから。
不良債権処理の失敗などで大型倒産が相次いだ
ここ最近は金融機関の大きな倒産はありません。日本振興銀行のような、小さい銀行の倒産なら、無いことも無いのですけどね。
しかし過去には、大型倒産が相次いだ時期もありました。例えば、4大証券の1角を占めていた山一証券が倒産しています。また、この時期には、北海道拓殖銀行や日本長期信用銀行といった、大手の銀行も倒産しています。
あるいは、各都市銀行の経営が行き詰まり、銀行の合併が相次いだ時期もありました。その合併の結果、現在のメガバンクが出来たという経緯です。
あれも、一歩間違えれば、倒産していた銀行が少なくなかったはずです。
この他にも、中堅の生保会社が連鎖的に倒産したこともあります。
金融機関の倒産というのは、実は、時々起こることなのです。不思議なことに、時間が経つと忘れてしまう人が多いようですけど。
投資家に不利益はあるのだろうか
金融機関が倒産すると、その金融機関に勤めている人には不利益があります。処理の仕方によっては、職を失う可能性だって小さくないでしょう。まあ、これは当然ですね。
その金融機関に出資している人も、不利益を被るでしょう。わかりやす例として、その金融機関が上場していれば、持っている株式の価値がゼロになるかもしれません。
それでは、個人投資家として金融機関を利用している私たちには、どんな影響があるのでしょうか。
銀行が潰れたら、預金は戻ってくるのでしょうか。あるいは、生命保険会社が潰れたら、掛けていた保険はどうなるのでしょう。
とりあえず、このページでは、銀行が倒産した時の影響についてチェックしてみましょう。銀行が潰れると何が起きるのでしょうか。
銀行の倒産に備える保険があるからある程度は大丈夫
結論から書いてしまうと、銀行が倒産しても、私たちの預金はある程度は守られます。しかし、全ての預金が守られるわけではありません。
ですから、銀行の預金をする前に、自分の預金口座がある銀行が倒産したらどうなるかをチェックしておきましょう。銀行が倒産してもお金が返ってくるのかは、非常に重要なポイントですね。あるいは、全額戻ってくるのか、一部戻ってこないとしたらどの程度なのかというのも重要です。
特に、ある程度まとまった額を預金する人や、外貨預金や仕組預金などの変わった預金に手を出す人は必須です。
銀行の倒産に備える保険がある
上に書いたように、私たちの預金は、ある程度守られています。それでは、どうして私たちの預金は守られるのでしょうか。
その理由は簡単で、銀行の倒産に備える保険があるからです。預金保険と言います。
この保険は、個々の預金者が入っているわけではありません。各銀行が入って、自分たちが倒産したときに、預金者が困らないようにしているのです。
しかも強制で入らないといけません。ですから、預金者としては、預金保険が補償する範囲では守られるわけです。
おおよその仕組み
まず、全ての銀行は、預金保険機構というところに保険料を払っています。これは、預金額などから保険料が決まっています。
仮に経営破綻などで、あなたの口座がある銀行が、預金の引き出しに応じられないとします。このときには、あなたは、預金保険機構に保険金の支払いを請求をすることになります。
この請求が認められると、預金保険機構からお金が出るという仕組みになっています。この仕組を、預金保険制度といいます。
保険に詳しい人はおわかりいただけると思いますが、まさに保険の仕組みですね。
この預金保険ですが、日本政府や日本銀行、各金融機関等が出資をしています。
預金保険制度で守られる範囲
ちなみに、この預金保険で預金の全てが守られるわけではありません。預金の種類によっては、保険が使えないこともありますし、金額の上限も決まっています。
とりあえずの理解としては、ウィキペディアの次の部分を理解しておけばいいでしょう。
当座預金や利息のつかない普通預金は「決済用預金」として全額保護される。定期預金や利息のつく普通預金などは1金融機関につき預金者1人辺り1,000万円までとその利息などが保護される。
決済用預金は無制限、普通預金と定期預金は元本1,000万円とその利息まで保護されます。
決済用預金とは
上で出てきたように、預金保険制度では、決済用預金はその全額が保護の対象になります。それでは、決済用預金とはどのようなものでしょうか。
預金保険機構のサイトに説明がありました。1
1:その契約又は取引慣行に基づき第69条の2第1項に規定する政令で定める取引に用いることができるものであること。
2:その預金者がその払戻しをいつでも請求することができるものであること。
3:利息が付されていないものであること。
とりあえずの理解としては、いつでも引き出すことが出来る利息がつかない預金という理解で良さそうですね。最近は、銀行が、預金保険の目的で決済用預金という預金口座を取り扱っているようです。
預金保険で守られないケースも
ちなみに、外貨預金や譲渡性預金などは預金保険で守られていません。
譲渡性預金というのは、人に譲ることが出来る預金のことです。例えば、5,000万円の不動産を買ったときに、その支払として同額の譲渡性預金で支払う事が出来るのです。銀行が発行する1,000万円とか1億円とかの高額紙幣だと考えると良いでしょう。
日本では、個人が譲渡性預金を使うことは、あまりありません。ですから、譲渡性預金が保険の範囲から外れていても、たいした問題では無いでしょう。
もちろん、企業にとっては大問題でしょうけどね。譲渡性預金は金額が大きくなるでしょうから。銀行の倒産で、それが返ってこないとなると、企業にとっては大ダメージです。
ちなみにアメリカなどでは、個人も譲渡性預金を使うようですけどね。まあ、文化の違いです。
私たちにとって影響が大きいのは、外貨預金の方でしょう。外貨預金に関しては、預金保険が全く使えません。
預金保険が使えないということは、銀行が倒産すると、1円も返ってこないケースもあるわけですね。
もっとも、外貨預金なんて、そもそも選ぶべきではない金融商品ですけどね。数ある金融商品の中でも、投資家にとって不利な金融商品の代表のような存在ですから。
あくまで、余談ですけど。
まとめ
ということで、まず理解しておきたいのが、預金保険によってある程度の預金は守られているという点です。普通預金や定期預金なら、1,000万円までは絶対に大丈夫です。普通の家庭なら、この範囲で十分対処できるでしょう。
預金の額が1,000万円を超えるという場合は、いくつかの銀行に口座を作るだけで問題を回避できます。一つの銀行に付き普通預金の元本1,000万円まで保護されるからです。
国内には銀行が沢山ありますし、ネット銀行もあります。かなりの富裕層でも、分散すれば問題は回避できるわけです。
ということで、銀行の倒産に関しては、基本的に心配はいりません。ただ、預金がたくさんある人と、外貨預金を買っている人は、ちょっと注意が必要です。
補足:預金保険の対象になる金融機関は
預金保険の保護の対象になる金融機関は、具体的にどんなところなのでしょうか。実はこれは、預金保険法という法律で決まっています。
ちょっと引用してみましょう。
第二条 この法律において「金融機関」とは、次に掲げる者(この法律の施行地外に本店を有するものを除く。)をいう。
一 銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)第二条第一項に規定する銀行(以下「銀行」という。)
二 長期信用銀行法(昭和二十七年法律第百八十七号)第二条に規定する長期信用銀行(以下「長期信用銀行」という。)
三 信用金庫
四 信用協同組合
五 労働金庫
六 信用金庫連合会
七 中小企業等協同組合法(昭和二十四年法律第百八十一号)第九条の九第一項第一号の事業を行う協同組合連合会(以下「信用協同組合連合会」という。)
八 労働金庫連合会
九 株式会社商工組合中央金庫
銀行だけでなく、信用金庫や信用組合なども保護の対象になっています。要するに、銀行っぽいところは、概ね対象になっていると考えていいでしょう。
ただ、上に挙げたような金融機関でも、海外の支店は対象外です。また、外国銀行の日本の支店も対象外です。このあたりは注意が必要ですね。
また、農業協同組合、漁業協同組合、信用農業協同組合連合会、信用漁業協同組合連合会、農林中央金庫等も、預金保険の対象外です。
さらに、保険会社、証券会社も預金保険の対象外です。保険会社には、別の投資家保護の仕組みがあります。まあ、保険の消費者保護の仕組みは、率直に言ってイマイチな制度ではありますが。
証券会社の場合は、こういった投資家保護の仕組みは必要ないと考えられます。というのも、証券会社の仕事は、単なる仲介である事が多いからです。証券会社が倒産しても、投資家の資産には全く影響がないのです。
預金保険の目的
預金保険というのは、預金保険法という法律で定めれています。この法律ですが、次のような目的で作られた法律です。
(目的)
第一条 この法律は、預金者等の保護及び破綻金融機関に係る資金決済の確保を図るため、金融機関が預金等の払戻しを停止した場合に必要な保険金等の支払と預金等債権の買取りを行うほか、破綻金融機関に係る合併等に対する適切な資金援助、金融整理管財人による管理及び破綻金融機関の業務承継その他の金融機関の破綻の処理に関する措置、特定回収困難債権の買取りの措置、金融危機への対応の措置並びに金融機関等の資産及び負債の秩序ある処理に関する措置等の制度を確立し、もつて信用秩序の維持に資することを目的とする。
法律の条文って、読みづらいですよね。ちょっと整理してみましょう。
まず、大きな柱ですが。「預金者等の保護」「破綻金融機関に係る資金決済の確保」という2つです。この2つをやることで、「信用秩序の維持に資する」事を目的にしています。
これを実現するために、次のようなことをします。
- 金融機関が預金等の払戻しを停止した場合に、必要な保険金等の支払を行う
- 金融機関が預金等の払戻しを停止した場合に、預金等債権の買取りを行う
- 破綻金融機関に係る合併等に対する、適切な資金援助の制度を確立する
- 金融整理管財人による管理の制度を確立する
- 破綻金融機関の業務承継その他の金融機関の破綻の処理に関する措置の制度を確立する
- 金融危機への対応の措置の制度を確立する
- 金融機関等の資産及び負債の秩序ある処理に関する措置の制度を確立する
まあ、要するに、銀行などが倒産したときに、その影響が広がらないようにするための法律ということですね。そのために出来ることが、色々と定められています。
補足:預金保険機構からお金が出る条件
預金保険機構から保険が出るのは、どんなケースなのでしょうか。これも預金保険法という法律に決められています。とりあえず、関係する条文を引用してみましょう。
(保険関係)
第四十九条 金融機関がその業務を営み又は事業を行うときは、当該金融機関が預金等に係る債務を負うことにより、各預金者等ごとに一定の金額の範囲内において、当該預金等の払戻しにつき、機構と当該金融機関及び預金者等との間に保険関係が成立するものとする。
2 前項の保険関係においては、預金等に係る債権の額を保険金額とし、次に掲げるものを保険事故とする。
一 金融機関の預金等の払戻しの停止(以下「第一種保険事故」という。)
二 金融機関の営業免許の取消し(信用金庫若しくは信用金庫連合会又は労働金庫若しくは労働金庫連合会にあつては事業免許の取消しとし、信用協同組合又は信用協同組合連合会にあつては解散の命令。第五十五条第二項第一号において同じ。)、破産手続開始の決定又は解散の決議(以下「第二種保険事故」という。)
「2」の中で保険事故について言及されています。この保険事故というのが、保険金が支払われる出来事ということですね。
まず、金融機関が預金の払い戻しができなくなったら、保険事故と認められます。また、金融機関が営業免許を失ったり、破産手続きが始まったり、解散が決まったような場合も保険事故になります。
こういうケースでは、預金者に対して、預金保険機構からお金が支払われるわけですね。
補足:銀行が倒産した後の処理
次に、銀行が破綻した場合の実際の処理についてです。基本的には、預金者からの請求があったら保険金を支払うという仕組みであることがわかります。
(保険金等の支払)
第五十三条 機構は、保険事故が発生したときは、当該保険事故に係る預金者等に対し、その請求に基づいて、保険金の支払をするものとする。ただし、第一種保険事故については、機構が第五十六条第一項の規定により保険金の支払をする旨の決定をすることを要件とする。
2 前項に規定する保険事故には、当該保険事故が発生した金融機関につき、その発生した後(同項ただし書の規定が適用される場合には、機構が同項ただし書の決定をした後)に当該保険事故に関連して他の保険事故が発生した場合における当該他の保険事故(第五十七条第一項第二号において「関連保険事故」という。)を含まないものとする。
3 保険金の支払は、機構が、保険事故に係る各預金者等ごとに当該保険事故に係る保険金に相当する金額を金融機関に預金として預入し、当該預金に係る債権を当該保険事故に係る預金者等に対して譲渡する方法により行うことができる。
4 機構は、保険事故が発生したときは、当該保険事故に係る預金者等に対し、その請求に基づいて、政令で定める金額の範囲内で政令で定めるところにより、仮払金の支払をすることができる。
5 第一項又は前項の請求は、第五十七条第一項、第二項又は第四項の規定により公告した支払期間内でなければ、することができない。ただし、その支払期間内に請求しなかつたことにつき災害その他やむを得ない事情があると機構が認めるときは、この限りでない。
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