SMBC信託銀行が外貨預金の為替手数料無料キャンペーンをやっているようです。果たしてこのキャンペーン、私達にとってメリットが有るのでしょうか。検証してみましょう。
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買い付け時の為替手数料無料
SMBC信託銀行というところが、買い付け時の為替手数料無料キャンペーンを行うようです。期間は2019年7月22日(月)から2019年12月30日(月)の半年弱の期間ですね。
この期間に外貨定期預金として預ける分は、買い付け時の為替手数料がかからないわけです。普段かかっている為替手数料が無料になるわけですから、おとくなキャンペーンであることは事実でしょう。普段との比較という意味では。
ただ、投資として有利かどうかは別問題です。このキャンペーン情報だけでは、「普段この銀行で外貨定期預金をするよりはマシ」という程度のことしか言えません。
そこで、他の金融商品と比較して、本当に有利な商品なのかを考えてみましょう。
SMBC信託銀行の外貨定期預金
まず、対象となる通貨ですが、以下のような通貨です。
- 米ドル(USD)
- 豪ドル(AUD)
- ニュージーランドドル(NZD)
- 英ポンド(GBP)
- カナダドル(CAD)
- スイスフラン(CHF)
- ユーロ(EUR)
- 香港ドル(HKD)
- ノルウェークローネ(NOK)
- 南アフリカランド(ZAR)
ノルウェークローネは珍しいですね。それ以外は、外貨預金の取り扱いの中では、比較的目にする通貨です。
また、米ドルに関しては、優遇金利が適用されるようです。具体的には、次のような金利が適用されます。
- 1年:年1.7%(税引後年1.35%)
- 2年:年1.5%(税引後年1.19%)
普通は期間が長いほうが金利は高くなるのですけどね。キャンペーンということで、特殊な金利の設定になっているのでしょう。
というか、2年で年1.7%としてしまうと、銀行としても旨味が少ないのでしょう。
【注意点】外貨から日本円に戻すときに手数料を取られる
このキャンペーンは、日本円を外貨にするときの手数料が無料になるというものです。ということは、外貨を日本円にするときに、為替手数料がかかるわけですね。
この点は忘れてはいけまえん。とても重要です。
SMBC信託銀行の「為替手数料(1通貨あたり片道)」をみると、米ドルの場合は1ドルあたり1円の手数料がかかります。これって、ネット銀行と比べると、かなり高いのです。
例えば、住信SBIネット銀行の場合、1ドルに付き4銭(0.04円)しかかかりません。つまり、円をドルにして、そのドルを円にしても、1ドルに付き8銭(0.08円)しかかからないということです。
つまり、買い付け時の為替手数料を無料にしたところで、SMBC信託銀行の為替手数料はめちゃくちゃ高いということです。
1ドルにつき1円ということは、年利1.7%の商品で、1%程度の為替手数料がかかるわけです。ということは、1年定期の場合は、実質の金利は1%を切ります。
為替手数料を払って、これを選ぶ必然性って、何かあるのでしょうか。ちょっと私には、思い浮かびません。
もう、この時点で、論外の金融商品と言っていいでしょう。
まあ、1米ドルで片道1円なのは、この銀行に限った話ではありませんけどね。とにかく、比較にならないくらい低い金利の金融機関があります。
金利の魅力も小さい
それでは、1年定期だと年1.7%という金利はどうでしょうか。これは魅力的なのでしょうか。
実は、これも、キャンペーンでもなんでも無い住信SBIネット銀行に負けています。住信SBIネット銀行の1年の米ドル定期預金は、年2.2%(2019年7月31日時点)です。
つまり、金利でも0.5ポイントの差がついているわけです。キャンペーンなのに惨敗って、どういうことですか。
外貨建MMFにも負ける
この年1.7%という金利は、米ドル建MMF の金利よりも低いという点も注目すべきでしょう。例えば、「ブラックロック・スーパー・マネー・マーケット・ファンド」の金利は、年1.882%でした。1
米ドルだけMMF というのは、投資信託の一種です。安全資産のみで運用されるので、普通預金にかなり近い商品だと考えてください。
つまり、SMBC信託銀行の外貨定期預金の金利(キャンペーン時)が外貨普通預金の金利に負けているというわけです。
常識的に考えたら、こんなことありえません。
ちなみに、このMMF はSBI証券で取り扱いがあります。
外貨建MMFについてちょっと補足
外貨建MMF は、一応元本割れのリスクはあります。ただ、過去の例を見る限り、元本割れの確率はかなり小さいです。安全資産だけで運用されていますからね。
あ、これはあくまで、運用する通貨で見た場合の話ですけどね。日本円で見ると、為替リスクがあります。
ということは、低くない確率で元本割れは起こりえます。まあ、これは、外貨普通預金や外貨定期預金も同様です。
結論
ということで、結論です。
普段のSMBC信託銀行の外貨預金よりは有利なのは確かです。でも、他の金融機関の類似商品にいいものがたくさんありそうです。ですから、私ならお勧めしません。
どうしても外貨預金がしたいなら、住信SBIネット銀行がベストかな。そもそも外貨預金がいいのかという、別の議論が無いわけではありませんが。
- ※直近7日間平均利回り(2019/07/29現在)
[↩]
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